日本消化器内視鏡学会雑誌
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直視下生検材料による胃粘膜prostaglandinの研究(第1報)
―測定法の検討と臨床応用―
川村 雅枝重本 六男栗本 文彦小松 達司中井 呈子三輪 洋子前田 淳赤上 晃勝 健一山内 大三山下 克子横山 泉
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1985 年 27 巻 9 号 p. 1716-1722

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抄録

 われわれは従来の胃粘膜PGE2測定法を再検討するとともに若干の簡易化を図り,内視鏡下に得られたヒト胃粘膜PGE2を測定した.抽出精製過程では高性能薄層クロマトグラフィーを用い,CCl4脱脂過程を省略した.radioimmunoassayには高感度かつ特異性の高いPasteur研究所製抗血清を用いた.この測定方法での3 H-PGE 2回収率は47.7±7.6%(n=29)であった.胃粘膜組織の保存は-30℃ では15日間まで安定であり,また,組織重量5~50mgの範囲ではPGE2測定値に良い相関が得られた.成人男子胃粘膜PGE2は正常例では胃体部3,130±943ng/gw.w(n=6),幽門部3,720±149(n=6),びらん例では1,315±790(n=5),1,402±589(n=6)であり,胃びらん症例では胃体部,幽門部とも正常例に比べ有意に低い結果であった(p<0.05).また,PGE2の変化は他の防御因子と同様の傾向を示した.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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