日本消化器内視鏡学会雑誌
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腹側・背側両膵管の分枝癒合の2例
―慢性膵炎の成因について―
広岡 大司大地 宏昭西原 英樹片岡 伸一圓尾 隆典小林 晃上江洲 朝弘仲本 剛牧本 伸一郎松尾 吉郎山本 博橘 尚吾須田 耕一
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1992 年 34 巻 11 号 p. 2623-2630

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抄録

 ERP像で腹側・背側両膵管の分枝癒合と診断し,病理組織学的にもそれを証明し得た2例を経験し得たので報告した. 症例1は48歳,男性,アルコール飲用歴なし.ERP像で,腹側・背側両膵管の癒合は分枝癒合1型を示した.癒合部に膵石が嵌頓した再燃型の慢性膵炎と診断.症例2は67歳,男性,心窩部膨満感を主訴として来院,腹部超音波診断,PTCSにて胆管癌,ERPで分枝癒合3型と診断し,ともに膵頭十二指腸切除を施行した. これら2症例の切除材料についてまず肉眼的に分枝癒合を確認し,さらにPancreatic polypeptide細胞の分布より分枝癒合部が背側膵管の分枝からなることを証明した. 以上のごとくERP像の検討と膵管の肉眼的検索により分枝癒合1・3型を証明し得た.また2症例はともに背側膵に比べ腹側膵に強い膵病変を伴っており,分枝癒合では腹側膵に病変を併発し易いと考えられた.

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